調子っぱずれな、ピアノ
2007年02月22日
あるホテルのロビーで、自動演奏ピアノがラグタイムを奏でていた。
これを聞いて、僕はセロニアス・モンクを思い出した。

「Solo Monk」というこのアルバムは、1曲目から、ラグタイム調の「DINAH」という曲で、調子っぱずれなサウンドが、脳ミソをトロ〜リと、とろけさせてくれ、嫌なことを全て忘れさせてくれる。よきアメリカのミュージカルのように、スウィンギング!!ダンシング!!シンギング!!と思わず、満面の笑顔で両手を広げ、ひとり芝居。
ジャケットのイラストレーションは、僕の好きなプッシュピンスタジオのポール・ディビス。サウンドは、この絵のタッチにぴったりで、どこかトボケた感じの全曲ピアノソロ。

こんな下手なのか、うまいのか、分からないと思っていた演奏でも、モンクの練習量は半端じゃなかったらしい。一曲を自分の解釈で納得いくまで、毎日毎日いろいろな角度から吟味してからじゃないと、人前では弾かないというのだ。
モンクの息子がドラマーとしてデビューして、父親とヴィレッジ・ヴァンガードで演奏した。その時の父親の音楽的アドバイスは、その1回きりだったそうだ。「ドラマーの仕事は、リズムキープだ。それがしっかりできれば、後は装飾品のようなもの」と言われた息子は、ちょっと不満だったようだ。
しかし、息子はそれまで聞き続けてきた父親のピアノの秘密がそこにあったことを知った。つまり、「最低限のことを完璧に行う」という父親の厳格な姿勢が、そこで初めて理解できたようだ。これはデザインにも通じるものがある。
晩年、モンクは体調を崩し、このアルバムはその時のもの。それを知ったら、まるでピエロのように、ミストーンではないかと思う位のバラついたサウンドとリズムは、もの悲しくもある。
ジャズピアノ、究極のバッドチューニング。

なんとも不思議なコード進行のサウンド(どう不思議かは専門的には分らないんですけどね)に、ついついひかれて「ラウンドミッドナイト」の聴き比べで夜更かしをしたことがあります。
マイルスデイビスのトランペットがやけに切ないこの曲の作曲者がセロニアスモンクで、彼は他にも「ストレイトノーチェイサー」って、いわゆる不協和音の魅力炸裂のいかした曲の作者でもあるようですね。
職人的なピアニストって感じの人だったのかしら?いいですね。
ジャズというのは、不思議な音のズレ、遊び心なしではできない個性的なアドリブ、演奏者と聴く側が一体となるところ、クールに主張するところ、爆発する芸術〜じゃなくて、聴衆の息遣いを受けてする演奏 …etc. が魅力です。
デザインの世界とあい通じるものがあるんじゃないでしょうかね♪
つい、語りすぎました、調子にのりまして、失礼〜♪
投稿者:uench :2007年02月22日 20:02