究極のバッドチューニング、ロキシーミュージック
2006年09月04日
2006年09月04日
土曜日の夜、ソファに寝そべってパソコンを膝に乗せ、ネットサーフィンをしながらお腹をポリポリ掻いていた時、仕事仲間のコピーライターから、メールが来た。『今晩、BSでロキシーミュージックやりますよ。シノハラさんの好きなブライアンイーノは、いませんけど』『なにーーーーー!これから、寅さんを楽しみに粋で鯔背な江戸っ子ダンディズムモードに入っていたところなのに』と飛び起きた。
慌てて、ハードディスクレコーダーのタイマー録画をセッティングした。僕は、心の切り替えが多忙だ。時には寅さん、時にはジェームズボンド、時には、ロケンローラー。常に頭のチャンネルをザッピングしなければならない。
久々に見た。中学か高校の時、夜7時以降は自分の部屋に籠って勉強を義務づけられていた僕は、もっと刺激的な文化があることを知ってしまい、親に隠れて深夜、友人宅へこっそりと抜け出して行ったものだ。その時、友人宅でたまたまイレブンピーエムという番組が流れていて、そこで見たのがロキシーミュージックだった。
今野雄二さんの解説で、海外の音楽だけでなく、ファッション、文化を紹介するコーナーだったと思う。当時は、クイーン、レッドツェッペリン、ピンクフロイド、ディープパープル….今でいう70年代ロックの全盛期だった。番組中、一部のコーナーだったので5分位の時間だったと思うけど、あの強烈な個性は30年以上経った今でも昔の記憶と同じで一瞬にしてタイムスリップしてしまった。
あの当時、ロックと言えばロングのカーリーヘアで(もちろん、違うタイプもいた)胸元が大きく開き、襟が大きく、キラキララメ入りのシャツに膝にパッチの入ったベルボトム。大袈裟なアクションでギターをかき鳴らし、ボーカリストは、マイクスタンドを斜めに抱え絶叫するタイプが多かった。
ところが、ボーカルのブライアンフェリーったら、お尻を突き出し、腰をクネクネ、左腕は、演歌歌手五木ひろしヨロシク、拳を握っているじゃありませんか?しかも、ロングヘア全盛の時期に50年代ハリウッドスターのような七三分け、チョビヒゲに細いネクタイをしたアーミールック。サウンドは、学園際の学生バンドのようで、伸びきったカセットテープのようなふにゃふにゃした音。
ジャケットは、エロ過ぎて日本では修正版が発売。(今では、どうってことないけど)でも、これがかっこいいんだな。時代の先端行き過ぎていたんだよね。当時のロックのような、絶叫型ヘビーサウンドではないクールさ。あの肩を竦めて、虚ろな目で時折上を見上げて、完全にイッテしまっている仕草は、当時のPTAのおばさま達は半狂乱になっただろう。
今、聞いても誰にも似ていない独自の世界観を持っている。ゲテモノロックのロキシーミュージックが好きだと言うのは、ちょっと勇気がいるけど。親にも言えない、ロキシーミュージック。
しかし、オリジナルとは何か?エンターテイメントとは何か?独自性とは何か?を教えてくれたバンドのひとつである。どの時代も先端を行き過ぎているものは、なかなか受け入れられない。
その後、ブライアンフェリーは、ソロになりヒットを飛ばし、ダンディなボーカリストとして市民権を得て大成功を収める。
これが、本物のバッドチューニング。
